「重……っ、あんた、突っ立ってるんだったら手伝ってよ!」
『おい、娘はどこにいるんだ! 答えろ!!』
とスペイン語で答えられても智子には理解できず、期待するのをやめて重い機材を押し続けた。白い円柱状のカプセルは非常に重く、キャスターが付いていてもゆっくりとしか動かなかった。
「先生!」
『パパ!』
『フィオ!!』
リシュネ達が智子の所まで駆けつけ、フィオはロベルトに抱きつく。
「何してるんです!?」
「簡潔に説明します。地下一階のトラックを奪取、逃亡します」
「無茶言わないでください!」
少年はカプセルを見る。その中には、彼の父親が入っているはずだった。
「ここの施設がなくちゃ死んじゃいます!!」
「ここに置いておくわけにはいかないの! 政府にとってAPは実験材料でしかないの、あいつらに渡したら絶対に殺される!」
「そんなこと分からないじゃないか! ここの機械がなくちゃ、父さんは絶対に……絶対に助からない!」
「いいえ、私がなんとかする、だから」
「嫌です!!」
「この――」
智子は手を挙げ、少年は睨み付ける。
その手が、止まり、少年の肩を抱く。
「え――」
「分かってよ……私は、あなたのためにしているのよ……」
「先生……」
「ここにいては危険。あなた達は敵なのよ、しかも相手にはAWがいる。籠城ができるほど戦力が拮抗していない。ここは一度逃げるの。あなたが大事だから……」
智子は顔を上げる。
「リシュネ、あなたもよ」
「えっ」
「私はあなた達を絶対に見捨てない。それだけは約束するわ」
そう言って、智子はにっこりと笑った。
『おい、娘はどこにいるんだ! 答えろ!!』
とスペイン語で答えられても智子には理解できず、期待するのをやめて重い機材を押し続けた。白い円柱状のカプセルは非常に重く、キャスターが付いていてもゆっくりとしか動かなかった。
「先生!」
『パパ!』
『フィオ!!』
リシュネ達が智子の所まで駆けつけ、フィオはロベルトに抱きつく。
「何してるんです!?」
「簡潔に説明します。地下一階のトラックを奪取、逃亡します」
「無茶言わないでください!」
少年はカプセルを見る。その中には、彼の父親が入っているはずだった。
「ここの施設がなくちゃ死んじゃいます!!」
「ここに置いておくわけにはいかないの! 政府にとってAPは実験材料でしかないの、あいつらに渡したら絶対に殺される!」
「そんなこと分からないじゃないか! ここの機械がなくちゃ、父さんは絶対に……絶対に助からない!」
「いいえ、私がなんとかする、だから」
「嫌です!!」
「この――」
智子は手を挙げ、少年は睨み付ける。
その手が、止まり、少年の肩を抱く。
「え――」
「分かってよ……私は、あなたのためにしているのよ……」
「先生……」
「ここにいては危険。あなた達は敵なのよ、しかも相手にはAWがいる。籠城ができるほど戦力が拮抗していない。ここは一度逃げるの。あなたが大事だから……」
智子は顔を上げる。
「リシュネ、あなたもよ」
「えっ」
「私はあなた達を絶対に見捨てない。それだけは約束するわ」
そう言って、智子はにっこりと笑った。