KAB-studio > 風雅、舞い > 第十四章 混乱の我家 (8)
風雅、舞い - 第十四章 混乱の我家 (8)
「敵のAWは5から10体。それに比べて私達は……」
「私、雅樹、リシュネ、あの子……あとディルトって人もいるよね、最初に戦った。他には……」
「言っておくけど、遥は勘定に入れちゃだめ」
 死神と呼ばれる、銀髪の猫。
「……なんとなくそんな感じはするけどね」
「あれは、本当に死神みたい。多分一人で天地社を消せる」
「…………」
 ひどく、解らない。
「そんなに強いのがいるのに、なんで問題なの? 左さんだって、最後は彼女に頼むんじゃないの?」
「それがないってこと。どういうことか解る?」
「うーん…………」
 わからない。
「それって、左さんが、負けてもいいって言ってるように聞こえるんだけど」
 リシュネはうなずいた。
「え……?」
「洋一の目的は、私達とは別の所にある。それは……」
 そこで、言葉を切る。
「……私は、その目的を聞いているんだけど、言ってはいけないから」
「そんなに重要な目的なの?」
「彼にとっては、ね。ううん、きっとそれは重要じゃない、でもその他のあらゆるものが、彼にとってはとても些細なことなんだと思う。それが人の生死に関わることでも」
「…………」
 時々、左の言動に感じていた違和感。そのヒントが、リシュネの言葉に含まれていた気がする。
 検索