「全員の病気が治る、それでいいじゃないか」
洋一は智子に言う。ふたりが見上げるその上には、人一人入る水柱カプセルが2機設置されている。緑色の液体の中には人影。白い保護膜が包帯のように体を包み込んでいる。
「鳳夫妻はそれで納得してくれたわけだし」
「別に、今度の5人のことじゃないんです。……言わなくてもわかりますよね」
「それに答えたら、君は手を引くだろうから言えないな」
「……」
この人は、私に引く気がないことを知っていて、こういう言葉を吐く。
「今度は僕の方から、質問をしていいかな」
「……はい」
「6人目を作りたいって言ったら?」
「!!」
智子は驚愕して、言葉も出なかった。
「別にね、僕は私利私欲のためにしたいわけじゃないし、APの国家を作りたいわけでもないんだ。でも」
洋一は、足下のおはるさんを見た。
「別に作っても、問題が増えるわけじゃないし」
「増えますよ! 問題、大ありじゃないですか!!」
「確かに数は増えるかもしれない。でも、種類は増えないんじゃないかな」
「え……」
洋一は再び見上げる。そして、胸ポケットから名刺を取り出して、智子に渡した。
「……?」
裏にはアドレスとユーザーID、パスワードが手書きで書かれていた。
「6人目はすぐに作るんじゃないんだ。今度の件の後の計画がそこに書かれてる」
「次の計画……」
「そのときに君がいるととても助かる。これから、もっともっとAPを作らなきゃいけないし、それに……」
洋一は、水柱の表面に触れて、言う。
「減る問題だって、あるんだから」
洋一は智子に言う。ふたりが見上げるその上には、人一人入る水柱カプセルが2機設置されている。緑色の液体の中には人影。白い保護膜が包帯のように体を包み込んでいる。
「鳳夫妻はそれで納得してくれたわけだし」
「別に、今度の5人のことじゃないんです。……言わなくてもわかりますよね」
「それに答えたら、君は手を引くだろうから言えないな」
「……」
この人は、私に引く気がないことを知っていて、こういう言葉を吐く。
「今度は僕の方から、質問をしていいかな」
「……はい」
「6人目を作りたいって言ったら?」
「!!」
智子は驚愕して、言葉も出なかった。
「別にね、僕は私利私欲のためにしたいわけじゃないし、APの国家を作りたいわけでもないんだ。でも」
洋一は、足下のおはるさんを見た。
「別に作っても、問題が増えるわけじゃないし」
「増えますよ! 問題、大ありじゃないですか!!」
「確かに数は増えるかもしれない。でも、種類は増えないんじゃないかな」
「え……」
洋一は再び見上げる。そして、胸ポケットから名刺を取り出して、智子に渡した。
「……?」
裏にはアドレスとユーザーID、パスワードが手書きで書かれていた。
「6人目はすぐに作るんじゃないんだ。今度の件の後の計画がそこに書かれてる」
「次の計画……」
「そのときに君がいるととても助かる。これから、もっともっとAPを作らなきゃいけないし、それに……」
洋一は、水柱の表面に触れて、言う。
「減る問題だって、あるんだから」